美容サロンが取り組むべき「成果が出る教育」7つのポイント
『美容師の定着と成長』は業界の課題であり、美容サロンのオーナー、店長、教育担当にとって美容師の「教育」は業績に直結する重要なテーマです。
一方で『教育』は難しく、「どの様に取り組めば良いか分からない」「取り組んではいるが成果が出ない」「教える側は難しい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
『教育』で成果を出すために必要な考え方や取り組みについて解説していきます。
目次
なぜ教育が必要なのか?を改めて理解する
この記事の読者で「美容師の教育は重要か?」という問いに対してNOという方はいないでしょう。一方で、「なぜ教育が重要か?」という質問への答えは人によって様々です。
ここではサロン経営の観点から整理してみましょう。
表の内容の一つ一つは当たり前と感じる方も多いと思いますが、一番お伝えしたいポイントは“「教育」はサロン経営のあらゆる指標に効果がある”ということです。
逆に教育への取り組みが上手くできないと、無駄なコストがかさみ、売上を伸ばす機会を失う負のサイクルへ入ってしまいます。
サロン教育は永遠のテーマです。
今、サロンや自身が取り組んでいることを思い浮かべながら、改めて学んで実践していきましょう。
教える側と学ぶ側のギャップを理解する
「教える側」としては、思う様に新人が育たない原因をその「人」に求めたくなりますが、それは必ずしも正しいとは限りません。理想は『誰でも成長できる仕組みと環境をつくること』であり、その為にも先ずは「教える側」と「学ぶ側」には大きなギャップ(意識の差)があるということを理解する必要があります。
サロン教育の目的を「一定の水準まで成長させる」と考えると、再現性を高める“仕組み”が必要となります。
一方で、仕組みはあくまでも“基盤”であり、それだけで上手くいく訳ではありません。
学ぶ人は「あなたとは違う時代と環境にいる」ことを理解すること、何よりも「1人ひとり違うのだ」ということを意識して接すれば、あなたの経験や成功体験は学ぶ側にとって非常に有意義な情報として受け止められるでしょう。
サロン教育で成果を出す7つのポイント
ほとんどのサロンでは教育を行っていると思います。一方で、思ったように教育の成果が出ていないと感じる方は多いのではないでしょうか。「教える側」と「学ぶ側」の意識のギャップを理解した上で、取り組むべきことを考えていきましょう。
①ランク定義を明確化する
②教育に関する情報を統一する
③リスキリング(学び直し)
④人だけで解決しようとしない
⑤理解できる言葉で説明/質疑応答する
⑥実践・チェック・TODOに集中する
⑦“成長した部分”を褒める
①ランク定義を明確化する
「学ぶ側」のモチベーションを向上・維持させるためには大前提として、「なぜ学ぶ必要があるのか?」を明確にする必要があります。
具体的には学んでいることとランクが結び付いており、何が出来るようになるとランクアップできるかが具体化されていると、「学ぶ側」の努力の方向性が定まり、何を身につけるべきか明確となります。
従事する方の多くは技術職ですので「何となく評価される」よりも、「水準を満たせば評価される」形のほうが受け入れやすく、正当な学びと主体的な努力を引き出すことができます。
皆さまのサロンでも、ランクアップの条件は設定・共有されていると思いますが、「いつ、どの様なサイクルで評価されるのか」、「誰が判断するのか」、「判断基準は明確か」、「サロンや教育担当の支援内容」などが明確になっていないことも散見されます。
今の枠組みを改良するだけでも納得感や頑張りを引き出すことが十分に可能ですので、あえてメンバーの意見も聞きながら新しい枠組みを再考してみるのはいかがでしょうか。
継続的により良いものにしていく姿勢はきっとサロン活性化のためにプラスに働くはずです。
②教育に関する情報を統一する
「学ぶ側」の悩みとして「教える側」の情報が統一されていないという声を良く聞きます。
A:マニュアルが古い/整備されていない/実態と異なる
B:複数の先輩の教えてくれる内容が異なる
「学ぶ側」の悩みとして「教える側」の情報が統一されていないという声を良く聞きます。
A:マニュアルが古い/整備されていない/実態と異なる
Aは時間経過と共に内容が古くなっていたり、以前はやっていたが今はやらなくなった業務や手順といったことが挙げられます。
立ち返る場所として正しい状態にすることは学ぶ側にとっても安心ですし、教える側にとっても認識のズレが無くすることができるので重要です。また、スマホやPCからカリキュラムに関する情報を「いつでも確認することができる」という状態にすることも重要でしょう。
B:複数の先輩の教えてくれる内容が異なる
Bについてはみなさんも経験があるかもしれませんが、どうしても「人によって言っていることが違う」という現象は起きやすいものです。美容師の技術は個々人で学び実践して経験が積み重なるものですし、同じサロン内の美容師でも転職などでバックグラウンドの違いもあるため、起きている要素もあります。
結果的に正しく同じ状態になるのであれば、方法(やり方)は複数あっても良いと思います。
一方で「学ぶ側」としてはまだまだ知識も経験も無いため、先ずは「軸」となる基礎を“正しく基準となるカリキュラム”で学び身につけてもらう必要があります。
この様に統一された正しい情報を、いつでも確認できる形で「学ぶ側」と「教える側」が活用できる環境が重要となります。
③教育をする側も「リスキリング(学び直し)」による成長と理解する
最近仕事において価値を出し続けるためのスキルや知識の習得、そのための学び直しを「リスキリング(Reskilling)」という言葉で語られるようになりました。
新しいトレンドや技術を学ぶこともリスキリングの要素はありますが、実はもっと身近な学び直しの機会が「教育」なのです。
教える過程で「なぜそうするのか?」という説明や疑問に答えることが成長に繋がりますし、ひいては本当の意味で感覚的に実践していることが“身につく”貴重な機会なのです。
新人が入社して最も成長するのは先輩となるメンバーである、というのは真実ではないでしょうか。オーナーや店長も教えることが上手な美容師を褒める・評価することがサロンの成長に繋がることを理解し実践してみてはいかがでしょうか。
④全てを人だけで解決しようとしない(デジタルツール活用)
重要性は理解しつつも、日々の忙しさから教育に取り組めていないと感じる方も多いのではないでしょうか。
講習を一時的なキャンペーン的にやるのではなく、定着する形で学びの環境を提供する為には「学ぶ側」と「教える側」の双方の負荷を減らすこと、全てを人で解決しないという“割り切り”が重要です。
動画で技術がいつでも学べるサービスを活用することで人が教える負荷を軽減し、カリキュラムはスマホで確認できる環境に情報を格納することで、探す手間や認識違いを無くすことが可能です。
今までの全てを人が担っていた教育の一部はデジタルに置き換えて、本当に必要な実技やチェック、“褒める”といった部分に集中することで教育を定着させることができます。
サロン経営は人が資本です。学ぶ側も教える側もいかに成長できるか、生産性を高められるかはビジネスに直結するため、教育においても積極的にデジタルを活用していきましょう。
⑤「なぜそうするのか?」を理解できる言葉で説明/質疑応答する
教える側にとって実技や手順には全て裏付けや理由があります。
(もし「なぜそうするのか?」に答えられないなら、それは学び直しの必要があるかもしれません)
「なぜそうするのか?」という理由を丁寧に、かつ分かる言葉でコンパクトに伝えることが重要です。特に情報量が多くなってしまうと学ぶ側の理解が追いつかないので、分かり安く伝えると共に質疑応答を必ず行い、知識を定着させることが大切です。
また、教える側にとっても「なぜそうするのか?」を相手に分かる様に伝えることは貴重なリスキリング(学び直し)=成長の機会となります。
美容業界はトレンドの移り変わりや薬剤の進化が日々進んでいます、新しい知識を取り入れる為には軸となる“基礎を正しく身につける”ことが重要であり、それは学ぶ側のみならず、教える側にとっても重要な機会となるでしょう。
⑥実践・チェック・TODOに集中する
教育は重要性に対して負荷が高く定着させるのが難しいため、積極的にデジタルツールを活用し一部を置き換えることが有効であることをお伝えしました。
一方で、サロン教育全体の中で人でないと価値が出せない部分が存在し、デジタルに任せることで負荷を下げ、人が担うべき部分に力を入れて取り組むことが大切です。
例えば教育のサイクルを以下の1~5に分解すると、教える側として“人の価値”が重要な領域と、デジタルツールを活用することで効率化・生産性を向上できる余地のある領域が分かります。
1 手本を見せる:実技を見せると共に動画教材を学ぶ人と視聴して確認
2 復習する:動画サービス/カリキュラムを見ながら手順を確認
3 練習する:動画サービス/カリキュラムを見て実践・自己チェック
4 実技チェック:教える側が達成度をチェックする
5 宿題/改善点を伝える:できた部分と足りない部分を伝える
「手本を見せる(実践)」、「達成度を見る(チェック)」、「宿題/改善点(TODO)」こそ、教える側の重要な役割であり、人の価値が出しやすい領域です。
この3つのポイントを丁寧に行うことが学ぶ側のモチベーション向上に大きな役割を果たします。
⑦“成長した部分”を褒める
学ぶ側にとって“褒められる”ことはモチベーション向上や、取り組んでいる努力が間違っていない安心に繋がるため非常に重要です。
一方で教える側は褒めることに慣れていなかったり、美容師は技術職ということもありお客様にサービスを提供する前提で“できた”と認める水準に届くまでは褒めない人も多いのではないでしょうか。
教える側は求められる水準に対して「足りない部分」に気付くことに関しては長けているのですが、学ぶ側としてはできない部分ばかりを伝えられると辛いものです。(もちろん必要なことなのですが)
今でも積極的に褒めている方もいると思いますが、ただ褒めるだけではなく「前と比べてできるようになったこと」を褒めると非常に効果的です。
イメージとしては「足りない部分」を伝えることと、「成長した部分」を伝える割合を50%:50%にすることを意識すると成果が高まります。
注意点としては「前よりも成長した部分」を見極めるためには学ぶ側である1人ひとりの「人」に対して関心を持っていないと気付くことができないということです。
一方で、成長した部分を褒められると学ぶ側にとって「見てくれている」「応援してくれている」から頑張ろうと思えるものです。
教える側にとって大変な面もありますが、意識して対応するだけでも効果が感じられると思いますし、人に向き合う為にも様々なサービスを活用して時間を創っていくことが重要となるでしょう。
現状を振り返り、一歩ずつ進めよう
サロンにとって教育の重要性やいかに成長に繋がるか、成果を出すためのポイントをお伝えしました。
ご自身の立場や役割、サロンの状況をイメージしながら、「できていること」、「できそうなこと」が思い浮かんでいたら嬉しいです。
一方で教育は短距離走ではなく、マラソンの様に継続的に実施し定着させるべきものです。一気に全てを変えるのは難しく、段階的に仕組みを変えたり、ツールを導入したり、実験的に取り組んで振り返ったりして意識が変わっていくものでもあります。
まずはできそうなところから、段階的にサロン教育をアップデートしていきましょう。
学ぶ側、教える側双方の成長に繋がることがきっと実感できるはずです。
まずはお試し、若手育成はヘアスタディ
いつでもどこでも動画で技術が学べる「hairstudy(プレミアムプラン)」は、新人が身につけるべきベーシックカットから最新のトレンドまで合計400本が見放題、随時新作動画が公開されます。
また、「hairstudy(サロンプラン)」では独自のカリキュラム提供をスマホで提供が可能な「カリキュラム機能」も提供することで、学びの機会と学習状況の把握が可能です。
hairstudyはヘアサロン様の「相談先がわからない」「何から始めればいいのだろう?」「困った!」をサポートします。以下のようなことでお困りの際もお気軽にご連絡ください。
・ヘアサロンやスタイリストに関する動画制作及び記事制作
・ヘアサロンのプロフィール動画制作
・ヘアサロンの紹介や人材募集(広告扱いとなります。※)
・店舗コンサルティング
・セミナー企画運用
・商品レビュー記事(広告扱いとなります。※)
※記事の掲載は、hairstudyが運営するWebマガジン「hairstudy ZINE(ヘアスタディマガジン)https://media.hairstudy.jp/」への掲載となります。