理想の集客構造を構築する5つのポイント (寄稿:株式会社CS-C)
美容室における「理想的な集客構造」とは、どのような形でしょうか?
美容室や飲食店のWEBマーケティング支援を行っている株式会社CS-Cでは、『お店が得意としている施術とマッチした、髪に関する悩みをお持ちのお客様が多く来店している状態』だと考えています。
「お店の強み」と「お客様の解決したい悩み」がうまくマッチしていると、顧客満足度が高くなる傾向にあります。
顧客満足度が高まると、「リピート率の向上」に繋がり、サロンの経営を安定させることが可能になるため、これが理想的な集客構造と言えるのではないでしょうか。
新規顧客の獲得に注力することも大切ですが、
・美容室の店舗数は年々増えている
・日本の人口は2008年をピークに減少傾向
という事象からも、「リピーター対策」はサロン経営における重要課題の1つであることは言うまでもありません。
そこで今回は、「リピート率の向上」に加え「客単価のアップ」にまで成功した、鹿児島市に美容室を構える株式会社Coconeelと合同会社UNJOURのオーナー 薗田 春司さんに、実際にお店で行った取り組みと併せて、成功の秘訣をお伺いしました。
美容室オーナーの皆さまには、是非ともサロン経営にお役立ていただければ幸いです。
目次
新規の段階でお店の強みとマッチしているお客様を選び抜く
ーー貴店では、オープン当初から高いリピート率が維持できていたのでしょうか?
そんなことはありません。
会計時に店頭で次回予約を促したり、美容ポータルサイトを経由して自動メッセージを送ったりはしていましたが、なかなか再来店に繋がらず、リピート率が低い状態が続いていました。
最近はSNSを活用している美容室も多いので、安定した経営を目指すために、うちもLINEなどで一度来店していただいたお客様ともっと深いコミュニケーションを図る必要があるかもしれないと考えていた時に、CS-Cさん主催のウェビナー「髪質改善LIFEとREALLIFE」を視聴しました。
そこでのLIFEさんとREALLIFEさんのオーナーの言葉がきっかけとなり、「新規は減ってもいいので、リピート率を上げて予約枠を埋めていこう!」と経営の舵を切りました。
ーー新規顧客が減ることに不安はありませんでしたか?
もともと毎月80~100名くらいの新規が来られていた店舗もあったので、売上が下がってしまうのではないかという不安はありました。
しかし、当時は新規のお客様を回すだけで忙しく、一人一人に丁寧な施術ができなかったり、スタイリストが得意ではない施術にも対応していたことで、顧客満足度を高められずリピートされないという悪循環が生まれていました。
それにより、スタッフのモチベーションも下がっているのを感じていたため、今の経営スタイルはスタッフにとっても良くないと思い、方向転換を決意しました。
とは言うものの、リピート率を向上させるのと引き換えに、新規のお客様の受け入れを止めたわけではありません。
今までは不特定多数のお客様を受け入れていましたが、その中でもうちの強みとマッチしているお悩みをお持ちのお客様に特化して集客できるような仕掛けづくりをしました。
今後リピート率が高くなったことを想定した時に、受け入れできる新規のお客様の数が限られることは明白です。
そのため、その限られた枠の中では、2回目以降の来店に繋がる可能性の高いお客様、つまり、顧客満足度を高められる自信のあるお客様に来店いただくことが必要だと考えました。
具体的にどんな仕掛けづくりをしたかというと、うちの強みは「髪質改善」なので、お客様が美容室を探す時に目にする美容ポータルサイトや自社ホームページに、お店のコンセプトを載せたり、新規向けクーポンは髪質改善に特化したものに限定するなど、WEB上でお店の色を強めることを意識しました。
お店の色を強めた打ち出しをしたことで、新規のお客様のうち「髪質改善」のメニューを選択して予約してくださる方の割合が、20.8%から69.4%にまで伸びました。
次回の「来店時期」と「その理由」を顧客に伝える
ーー一度来店した方や既存顧客のリピート率を上げるために、どんな取り組みをしたのですか?
お客様と施術中以外にもコミュニケーションを図れるように、公式LINEを友だち登録していただき、来店後のメッセージ送信を強化しました。
当初は、1店舗につき1週間に40人の友だち登録を増やすという目標を掲げていました。
目標達成のためにスタッフごとの友だち登録者数を毎週集計し、その結果を社内会議で共有することで、スタッフのモチベーション向上に努めていました。
ただし、LINEの友だち登録はあくまで手段であり、重要なのは来店後にお客様それぞれに合わせたメッセージを送ることです。
例えば、「次回は《2ヶ月以内》にご来店いただくと、キレイな状態を維持できるのでオススメです。」のように、退店時に予約を取られなかったお客様へは、次回の「来店時期」と「その理由」をLINEでお伝えし、次回予約をしていただけるように促しています。
お客様の髪の状態によっては、理想の姿を完成させるのに、何度か来店していただいたほうが良い場合もあります。
「また行く理由」まで納得していただくことで、自然と次回の予約をしてくださり、リピート率が上がるのではないかと考えたため、スタッフには「次回来店日の促進」を強く意識するように伝えていました。
ーーLINEの友だち数を増やすにあたって苦労はありましたか?
Hello Design Coconeelでは断られることはほとんどなく、順調に増やすことができました。
実は、LINEでのアプローチを始めるのと同時に、CS-Cさんが提供している「電子カルテ(C-mo Record)」を新たに導入したのですが、これが友だち登録を順調に増やせたポイントのひとつでもあります。
この電子カルテの情報はLINEで共有することが可能な仕組みとなっています。
ビフォーアフターの写真をLINEで共有できることを伝えると、新規のお客様であってもスムーズに友だち登録をしていただけました。
姉妹店のUNJOUR. 上荒田店では登録を断られるお客様が少しいらっしゃったため、友だち登録をしていただくことで500円の割引を実施しました。
案内が難しいと感じるお店は、割引やプレゼントを付ける方法も有効だと思います。
ーー電子カルテを導入して、LINEの友だち数を増やせた以外に良かったことはありますか?
顧客満足度の向上に繋がっている点です。
お店以外でもお客様自身で施術後のスタイルを見返すこともできますし、次回来店時には「今回はこうして欲しい」など、過去のカルテを見ながらスタイリストにイメージを共有しやすい点でお客様に喜んでいただいています。
実際にカルテの閲覧数が多く、「LINEで届くカルテに感動」という口コミを投稿してくださる方もいて、顧客満足度が上がっているのを実感しています。
また、電子カルテの導入は、お客様だけでなくスタッフにも大好評です。
施術前のカウンセリング時に前回の写真を見ながら行うことで、お客様とスタッフの認識齟齬を減らすことができ、とてもスムーズにカウンセリングができるようになりました。
他にも、指名をされないフリーのお客様が来店された時に、電子カルテが大変役立っています。
スタッフ同士が、前回の履歴を文章だけでなく写真付きで共有できるため、どのスタッフも共通のイメージを持つことができ、お客様にとっても安心材料になっていると思います。
ーーその結果、リピート率はどのように変わりましたか?
LINEでの再来店促進により、リピート率は以下のように変わりました。
※Hello Design Coconeelにおける、対策前の2022年3月~9月の7ケ月平均と、対策後の2022年10月~2023年4月の7ケ月平均との比較
WEB上でお店の色を強めた打ち出しをしたことで、新規の時点でお店の強みとマッチした悩みをお持ちのお客様の集客に成功したことも相まって、新規のお客様については+17.5%と大幅に伸びました。
また、リピート率の向上に加えて、客単価のアップという嬉しい結果も付いてきました。
これは、新規・既存共に、髪に関する悩みが明確で「それが解決できるなら」とカット以外にもトリートメントや縮毛矯正など、複合して予約してくださるお客様にご来店いただいているからだと考えています。
※Hello Design Coconeelにおける、対策前の2022年3月~9月の7ケ月平均と、対策後の2022年10月~2023年4月の7ケ月平均との比較
利益は福利厚生へ還元
ーー最後に、経営に悩んでいる美容室オーナーへコメントをお願いします。
昔は新規のお客様をいかにたくさん呼べるかに力を入れていました。
毎月80~100人くらい新規を呼べていたのですが、スタッフが新規のお客様ばかり担当し疲弊していることを感じ、いかにリピートしてもらえるかに力を入れるようになりました。
何か良い仕組みが作れないかと思い、CS-Cさんにサポートをお願いし、マーケティングの打ち出し方を一緒に考えてもらいました。
まずはリピートしてもらえる新規のお客様に来てもらえるよう、打ち出したい要素を明確にし、それを求めるお客様に的を絞った集客を行いました。
その次に、LINEを活用した電子カルテで、リピートにつながる仕組みづくりに取り組みました。
CS-Cさんにサポートしてもらってから約9ヶ月くらいですが、顧客満足度が上がり、実際にリピート率の向上という形で成果が出ています。
最近では、美容ポータルサイトだけでなくGoogleマップなど、お客様の予約動線も多様化しています。
それらにも対応しながら、売上を上げつつ利益も確保した経営を目指し、今後はその利益を福利厚生に還元することで、従業員満足度のさらなる向上を目指していきたいと思っています。
細分化する顧客のニーズ
薗田オーナーへのインタビューにより、顧客満足度を上げ、安定したサロン経営を行うには、顧客の理想とお店の強みのミスマッチを防ぐことがとても重要だと分かりました。
しかしながら、顧客が美容室に求めるニーズが年々細分化しているため、このミスマッチを防ぐのは難しくなっていると言われています。
例えば、Coconeelが強みとしている髪質改善。
実は「髪質改善」というワードも、Googleで検索する人が減ってきているのはご存じでしょうか?
【髪質改善】
※2022年7月~2023年6月の検索数の推移
ただし、「髪質改善」のニーズが減ったわけではありません。
もっと詳しく見てみると、「髪質改善 縮毛矯正 違い」「ブリーチで傷んだ髪 髪質改善」「パヤ毛 髪質改善」など、複数のワードを組み合わせた「髪質改善 + 〇〇」の検索数は増えています。
【髪質改善 縮毛矯正 違い】
【ブリーチで傷んだ髪 髪質改善】
【パヤ毛 髪質改善】
※2022年7月~2023年6月の検索数の推移
この結果からも分かるとおり、消費者はより具体的に、細かいワードを指定して、お店を検索をするようになってきているのです。
髪質改善をウリにしている美容室は、ブームも後押ししてよく見かけるようになりましたが、一口に髪質改善といっても、お店ごとにやり方は様々で、解決できる悩みも異なります。
消費者は、自分が抱えている髪に関する悩みに対し、「有効な施術が得意なスタイリストが在籍している美容室がないか」「効果的な薬剤を取り扱っている美容室はどこか」と、細かい条件でお店を探すように変化しています。
細分化された消費者のニーズをスタイリストが汲み取ることはとても大変ですが、ここでミスマッチが起きてしまうと、再来店には繋がらず、理想的な集客構造を構築することはできません。
まずはWEB上でお店の強みをしっかり打ち出し、予約段階での認識齟齬を減らすと同時に、来店時には施術前のカウンセリングで、お客様が求めている理想とスタイリストが考える完成形は一致しているかの確認を心掛ける。
このようにして細分化されたニーズにも対応し、顧客満足度を上げ、顧客の囲い込みに繋げることが、これからのサロン経営には必要なのです。
理想の集客構造を構築する5つのポイント
薗田オーナーのお店での取り組みをお聞きすることで、「リピート率の向上×客単価のアップ」という理想の集客構造を構築するには、以下の5つのポイントが重要であることがわかりました。
①お店の強みが何かを明確にする
②お店の強みをWEB上で打ち出し、新規はできるだけお店の強みにマッチしたお客様を獲得する
③顧客の理想とスタイリストの考える完成形が一致しているかを確認する
④LINE等を活用し、来店後もコミュニケーションが取れる状態を構築する
⑤お客様にメッセージを送る時は「次回来店日の促進」を行う
皆さんのお店でも今すぐ取り組めるポイントがあれば、早速実行してみてはいかがでしょうか。
販促手法の無料診断
CoconeelとUNJOURでもご利用いただいている、株式会社CS-Cが提供する「C-mo」には、LINEで共有できる電子カルテ機能の他にも、GoogleMapや各種SNS、オウンドメディアなどをまとめて最適化できる「C-mo Edit」、LINE公式アカウントと連携した紹介促進機能「C-mo Friends」などの機能があり、店舗の新規集客から固定客化までをワンストップで実現できる仕組みになっています。
この記事をご覧いただいたオーナー様、販促ご担当者様に向けて、CS-Cの支援実績やビックデータをもとに、今の販促が最適か、より効果的なWEBマーケティングの手法は何か、お店ごとに無料で診断・アドバイスをしています。
この機会にあなたのお店のマーケティングが適正かどうか確認してみませんか?
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※お申込みの際は「ご紹介元」に「ヘアスタディ」とご記入ください
薗田 春司(ソノダ シュンジ)
1978年生まれ、鹿児島県出身。
鹿児島県美容専門学校卒業後、同県内の2店舗を経て、2007年に鹿児島市内にHello Design Coconeel(株式会社Coconeel)をオープン。
現在は同市内に「UNJOUR. 上荒田店」「UNJOUR. 天文館店」(合同会社UNJOUR)をオープンし、3店舗のオーナーを務める。
株式会社CS-C(記事提供)
会社名:株式会社CS-C
代表取締役:椙原健
設立:2011年
会社URL:https://s-cs-c.com/
所在地:東京都港区芝浦4-13-23 MS芝浦ビル12F
事業内容:ローカルビジネスDX事業
・SaaS型統合マーケティングツール「C-mo」
・社外CMO(Chief Marketing Officer、最高マーケティング責任者)「C+」シリーズ