スタイリストから店舗ブランディングまで全て成功を収めてきた fifth 木村 允人が考える新規事業とは
この日お話を伺ってきたのは、原宿・表参道エリアを中心に5店舗を構える「hair salon fifth(ヘアサロン フィフス)」で、総店長を務める木村 允人 さん。
トップスタイリストとしての実績はもちろんのこと、ロジカルな思考で店舗ブランディングや大手ヘアサロンポータルサイト対策など幅広くその力を発揮しています。
そんな自身の経験をもとに、木村さんは fifth内の新規事業として店舗コンサルティング事業を立ち上げました。
ヘアサロンの花形とも言えるスタイリストという立場ではなく、新たな立ち位置でヘアサロンを盛り上げている木村さんに、現在の総店長としての仕事や新しくスタートした新規事業についてお話を聞いてきました。
5つの店舗を束ねる総店長とは
ーーはじめに、fifthとの出会いや総店長になるまでの経緯を教えてください。
初めは、九州から上京してきて東京・町田にあるヘアサロンで働いていたんですが、実は1ヶ月くらいで退職しています。
その後は、サロンモデルとして大手ヘアサロンから老舗ヘアサロンまで色々なサロンと仕事をしていました。
その時に出会ったのが fifth です。
fifthは、当時はまだ1店舗しかなくスタッフも5人くらいでとてもアットホームな空気感だったんですよね。それに惹かれて、fifthに入ることにしました。
fifthではアシスタントからスタートし、スタイリストデビューしたのは26〜27歳くらいの時かな?
当時は、まだまだ体育会系の色が強い時代でしたし「4~5年はアシスタント」ということも当たり前にありましたし、すぐに辞めてしまうアシスタントも多かった時代ですね。
さらに、先輩たちの主観だけでアシスタントの良し悪しが決まっている事も多々あったと思います。もちろん、発言権なんてありませんでしたし。
私も、アシスタント時代には毎日「辞めてやる!」と思っていました。
でも、私は昔から「物事を反面教師として見る」という性格だったんですよね。fifthのマイナスだと感じていた部分をプラスに変えて取り組んで言った頃から数字もついてきたと思います。
なににせよ、意見するにも組織の仕組みを変えるにも「まずは結果が重要だ!」と考えストイックに売上を追い求め、1年目で100万円後半/月、2年目で200万円/月という売上を作りました。
ーー現在は「総店長」として働いていらっしゃると思いますが、具体的にどのようなお仕事をされいるのですか?
現在は、サロンワークを半月程度に抑えて、全店舗のスタッフ育成やマーケティングなどを行なっています。また、会社としての○年計画のような経営部分にも携わっています。
ヘアサロンの経営というのは、バックオフィスがいないケースが多いと思います。また「カリスマ美容師」と呼ばれるような方が経営者というケースも多く、若い子たちが売り上げを作りにくいとい環境も存在します。
でも、それでは次の世代は育たないし、離職率も高くなる一方ですよね。
そこで、私は「ストレスフリーなサロンワーク」を目指しました。
例えば、社長も店長も私自身もシャンプーをやりますし「シャンプー=アシスタントの仕事」と決め付けない考え方ですね。
また、会社としての大きな改革といえば、やはりバックオフィスをしっかりと雇ったのも大きいかな。慣れないメンバーで慣れないことをするのではなく、しっかりと専門スタッフを雇い土台を固めることで、各々が自分のことに集中できるようになったと思います。
ちなみに、私は「無知はダサい」と考えています。
なので、総店長という立場になってサロンワークが半月程度になったとしても、技術を疎かにすることはありません。私たちスタイリストは職人であり、尊敬されるポイントも技術だと思っていますので、カッコ悪い姿は見せたくないですよね。
fifth を裏から支える新規事業について
ーー次に、fifthの新しい事業展開について教えてください。
はい、主軸になるのは「店舗コンサルティング」になります。現在は、東京・福岡を合わせて14店舗ほど実際にコンサルティングをさせていただいています。
具体的には「地域集客」「新規獲得」のキーとなるホットペッパービューティーの運用の仕方などは、必ず実践してもらっています。また、私たちが代わりにやってあげるというわけではなく、最初は「考え方」をちゃんと理解してもらうことが本当に重要になってきますね。
更新する内容、スタイルの出し方、ブログの大事さ、クチコミの大事さ、お客さん目線のLPの作り方。
WEBブラウザとスマホで閲覧したときに、ほとんどのサービスでデザインが異なります。さらに、傾向として女性はアプリを見ることが多く、男性はWEBブラウザを使用することが多いというのも容易に想像ができます。
そういった部分をしっかりと理解してもらい、客観的な「お客さん目線」を理解してもらう部分を重点的に行なっています。
また、fifthでは全店舗の全スタイリストのスタイルを共有していまして「〇〇店のスタイルが、他店舗で大人気に!」という事象も起こっています。
なので、こう言ったfifthでの経験を活かしながら「レンタルスタイル(各々のスタイルを共有し合う)」という仕組みを作ってみたり、色々な側面からのアプローチを考えています。
ーーコンサルティングをする上で、一番苦労するポイントはどこですか?
先ほどお話しした通り、ホットペッパービューティーなどの使い方ももちろん重要です。ただ、それ以前に「お店のスタイル」も重要なカギとなります。
この「お店のスタイル」を決めていく部分はかなり苦労するポイントなんですよ。
同じサロンで働くスタイリスト同士でも、得意技術や好きなスタイルは異なりますよね。なので、スタッフの「みんなのやりたい」を1つに集約することが非常に難しく、逆にここが重要なポイントとも言えます。
方向性が合わないと、店舗として一丸になることができずストレスを感じるスタッフも増えてしまうでしょう。
「ショートがやりたい・くびれスタイルが好き・デザインカラーをやりたい」
色々な考え方があると思いますが、店舗として成功を収めるには、まずは1つに集中することで集客の勝ち筋を作ることが重要だと考えています。
しかし、コンサルティングで入っている私は店舗からすれば外部の人間です。サロンのベクトルを整えるのは、その店舗の店長であったり、オーナーの仕事になります。
私のコンサルティングで実現できる事もありますが、まずはサロン内での方向性をしっかりと話すことが重要かなと思います。
サロンスタッフを豊かにする環境を作りたい
ーーコンサルティング業を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
会社としての新しい収益源、といえばもちろんそうなります。ただ、コンサルティングというのは1つの手段でしかありません。
私が目指しているのは「サロンスタッフが豊かになること」であり、新規事業で会社が潤うだけではなくサロンスタッフにも還元できるサイクルを作っていきたいと思っています。
例えば、新規事業の売上を店舗の追加予算として割り振ることで、活動の幅も広がるでしょう。
また、先ほどの「レンタルスタイル」なら、自分のスタイルを共有することで個々人に収益を分配する事もできます。
「会社の収益はもちろん、サロンスタッフも一緒に豊かになれるサイクルを作りたい」
これが、新規事業のきっかけということになりますね。
ちなみに、2022年春までに2-3店舗ほど新店舗を出店していく予定です。ヘアサロンとしても、もっと大きくしていきますよ。
最後にコメントをお願いします
fifthグループでは、各店舗にテーマを持たせ「テーマ特化型ヘアサロン」としてブランディングを行っています。
メンズブランディングに特化した店舗。
レディースのデザインカラーに特化した店舗。
郊外でのユニセックスな打ち出しの店舗。
fifthは、メンズが先行をしているように見えるかもしれませんが、レディースブランディングの店舗も非常に強いんです。
技術はもちろんのこと、売上も 200万円/月 オーバーのスタイリスト達がゴロゴロいますからね。
これからも、fifthらしい店舗展開や事業展開を発信していきたいと思います。
fifth 木村 允人
福岡県ハリウッドワールド美容専門学校卒。現在fifthグループの総店長。
360度どこから見てもキレイなシルエットになる骨格矯正カット、再現性の高いダメージレスなパーマ技術が得意で高いリピート率を誇る。新規パーマ比率90%となるマーケティングを確立。
個人ブランディングではなくチームオーダーに力を入れており、「若手にチャンスを」というスローガンのもと教育に励んでいる。
業界紙、雑誌の撮影も担当。セミナー講師としても活躍中。